疼痛緩和内科は一般的にペインクリニックと呼ばれるものと同義で、痛みをなくすことに特化した診療科のことです。トカゲ堂では東洋医学として漢方薬と鍼灸、西洋医学として神経ブロック注射をもちいて治療します。

 手足の痛みやしびれといった症状はほとんどが神経の傷害が原因で生じます。意外に知られていませんが漢方の世界では数千年前より痛みやしびれを改善させる研究がなされ、相当な量の知識と経験が蓄積されています。そのため原因が明らかでない神経痛や術後の神経障害の残存に対しては、漢方薬や鍼灸が極めて効果的なのです。もちろん西洋医学的に手術を行う利点があると判断した場合は速やかに手術を行うべきです。

 西洋医学では神経の傷害を食い止めるために手術を行いますが、一旦起こってしまった傷害に対してはビタミン剤や血管拡張薬で回復を促す程度しか治療法がないのが現状です。また神経因性疼痛の治療に用いられるプレガバリンなどは副作用を生じる危険が高いことも指摘されています。その点鍼灸は体の状態をしっかり把握して施術を行えば副作用はほとんどありませんし、優しく施術すれば鍼を刺す痛みもさほど気になりません。近年鍼灸は科学的な検証が積極的に行われ、傷ついた神経の修復を促進する効果があることが証明されています。

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私は麻酔科としてペインクリニックに深く携わってきた経験から漢方薬を神経傷害に対する第一選択薬と考えています。急性腰痛症(ぎっくり腰)のように硬膜外ブロック注射が極めて効果的な疾患も有りますが、この場合も漢方薬を注射と併用することで痛みを通常より軽くして回復を早めることができます。また脊柱管狭窄症などに伴う耐えがたい足の痛みに対して神経根ブロック注射などを一時的にもちいることもありますが実際に病気のもとを治療する際にもちいるのは漢方薬です。

 一般的に漢方薬は長期間治療しなければいけないと言われていますが、痛みが生じてからの経過が数ヶ月程度と短ければ1週間程度で症状が劇的に変化することも珍しくありません。もし病状が東洋医学的に複雑であったり、経過が長い場合は、症状の改善に数ヶ月ほどかかる場合もありますが、そのような場合でもゆっくりとですが確実に症状を改善させることが可能です。もし数ヶ月治療を継続して全く症状に変化がなければ内服中の漢方薬での回復は難しいと考えた方がよいでしょう。

 また漢方薬の神経因性疼痛に対する有効性は科学的にも証明されており十分に医学的根拠のある治療法であるといえます。附子という生薬について研究した私の知人の論文です。

The Astrocyte-Targeted Therapy by Bushi for the Neuropathic Pain in Mice. (PLoS ONE) (2011) 

 漢方薬は同じ部位の痛みやしびれに対しても何通りもの治療法があるため、個々の体質にあった薬草を専門的に選択して調合しなければいけません。また体の状態は病状と共に日々変化するため、診察の度に配合を調整していく必要もあるのです。トカゲ堂の強みはさまざまな東洋医学的診察法と西洋医学的診察法の両方を習得した漢方専門医が、一人一人にぴったりあった漢方薬を一から調合して処方することができる点にあります。また鍼灸を併用する場合にも院内で一貫した指示が出せるのでブレのない治療を提供できる自信を持っています。漢方薬と鍼灸で体の内側と外側から働きかけることで、お互いに助け合って漢方の効果も高まるのです。