
中医学の脈診は、手首の脈を診ることで、体の状態や病気の原因を見極める診断方法です。日本の漢方でも使われることがありますが、日本漢方では独自に発達した腹診を使用することが多いです。
ここでは「脈状」と呼ばれる脈の特徴について、はじめて漢方に興味をもった方にもわかるように詳しく説明します。
脈診は手首にある橈骨動脈という血管の上に、指3本をそっと置いて脈を診ます。左右の手でそれぞれ3か所診ますが、それぞれの場所で浅い位置と深い位置で脈の状態を確認するので、合計12か所で観察を行うことになります。
それぞれの場所で、脈の強さ、速さ、深さ、リズム、血管の質感などを感じ取り、そこから体の状態を陰陽五行を用いて読み取ります。東洋の哲学を用いた分析なので、西洋医学的に病気の診断ができるわけではないですが、どのような薬草のコンビネーションを用いると良いかはしっかりわかります。脈状には基本形が28種類あるとされていますが、ここでは基本の脈のタイプである浮・沈・遅・数(ふ・ちん・ち・さく)について解説します。まず浮脈は浅いところで感じる脈で風邪のひき始めなど、体の表面に異常があるときに見られます。次に沈脈は深く押さないと感じにくい脈で体の奥にある不調のサインです。そして遅脈は 脈がゆっくりで冷えやエネルギー不足が原因で起こります。さらに数脈は脈が速いことで熱っぽいときや、体に炎症があるときに現れやすい脈です。このように、脈の打ち方から体の内側の状態を知るのが中医学の特徴です。体調が気になるときは、手首の脈をご自身で診てみるとヒントがあるかもしれません。専門的なプロの脈診による治療を希望される方はトカゲ堂医院にご相談下さい。