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年を重ねても響きを失わないために 〜チャボロ・シュミットのセルマー・ギターから学ぶこと

先日、ジプシージャズの巨匠チャボロ・シュミットのライブを観る機会がありました。
その手に抱えられていたのは、あの伝説的な“セルマー・ギター”。
おそらく1940年代製だろうと思われますが、1952年までにわずか1000本ほどしか作られなかったという非常に貴重な一本です。

間近で見たギターのボディは、長い年月を物語るようにボロボロで塗装は剥がれていましたが、チャボロの指が弦を鳴らすと、
驚くほど深く甘い音が会場に広がりました。

実はこのギター、ボディこそ古びていますが、
フレットやブリッジ、ペグ、テールピース、バインディングなどは新しく交換・調整されており、
「最高の状態」で演奏できるように整えられています。

その音を聴きながら、私はふと思いました。
人間の体も、まさにこれと同じだな、と。

私たちも年齢を重ねれば、体のあちこちが“使い込まれた”状態になっていきます。
しかし、それは「もう古い」や「もうダメだ」という意味ではありません。
きちんと手をかけ、メンテナンスをすれば、
むしろ深みと味わいを持った「自分だけの音」を奏でられるようになるのです。

漢方医学の考え方も同じです。
体を若返らせるのではなく、今の自分に合った「調律」を行う。
血の巡り、気の流れ、食のバランス、睡眠のリズム
そうした全体を整えることで、体本来の「響き」を取り戻すことができます。

チャボロのセルマーがそうであるように、
人の体も、正しい調整と手入れによって再び美しい音を奏でることができる。
年齢を重ねることは、衰えることではなく、
「深く響く音色を手に入れる」ことなのだと思います。

あなたの体も、きっとまだまだ良い音を出せます。
そのチューニングを、私たちはお手伝いします。